手紙という贈り物

昨日、郵便受けを開けるとチラシの中に埋もれてお手紙が入っていた。

見覚えのある、青いインクの万年筆で書かれた丁寧で優しい字。送り主が誰かを見る前に、筆跡でそれがわかった。

改めて、手紙って本当にいいものだと感じる。趣のある、最高のプレゼント。

一文字ずつ書いて思いを言葉に変えて紡いでいくという作業はすごく律儀で、すごく繊細で、すごく貴重で尊い行為。

それを噛みしめながら読むことは、本当に至福の贅沢。

メールと違い、届いたときのときめき、それを手にして封を開けるまでの胸の高鳴り、封を切って取り出したときに裏地から透けている字が見えたときの喜び、一行読み進むごとにどんどん引き込まれて行く臨場感と差出人との呼応感。手紙は本当に素晴らしい。

何度も何度も読み返してしまうのは、差出人の思いがチープではない証拠な気がする。手紙を通して溢れている差出人の思いを汲み切れなくて、何度も何度も読みたくなってしまいのかもしれない。

手紙を書くのは時間がかかる。読むのはその何十分の一に過ぎない。でもきっと、だからこそ手紙には魅力があるのだと思う。思いというものは、思った/感じた瞬間がベストな食べごろであって

それを逃すと、まったく違う味に色に形になってしまうし、場合によっては意味を失くし、跡形もなく消えてしまうものだ。

でも手紙はそれを、永遠に近い形で保ったまま相手に届けることができる。(とはいえ限界はもちろんあるけれど)

この手紙の趣を、わたしは受け手としても書き手としても、一生大切にしていきたい。

2015年 冬