パスポート・・・?!忘れた!

パスポートを忘れて飛行機に乗れないという状況に

遭遇する人は、年間どれくらいいるのだろう。。。

そんなことをぼんやり思いながら、

電車に揺られるわたしは、

JRってこんなにのんびり走るものだったろうかと、妙な錯覚を感じていた。

「絶対間に合う。絶対間に合う!大丈夫、大丈夫…」

そう言い聞かせて羽田空港から1時間弱かかる自宅に引き返していたのだけれど。。。

姉の結婚式のために韓国に向かうわたしは、

あろうことか、パスポートを家に忘れたのであ~る…!

しかもそれを羽田の国際線ホームに着た瞬間に思い出したのであ~る!

「え!そうじゃん、乗ろうとしてるの国際線じゃん!!!!ひぇ?!」と。

パスポートを忘れた理由?というか、原因?はいくつかあげられる。

この3年間、以前の仕事の恩恵によって

わたしは飛行機や新幹線に乗る機会がかーなーり、多かった。

出張の無い月はなく、必ず毎月キャリーケースを転がしてどこかにお仕事として行かせて頂いていた。

その影響がとても大きく、またスーツケースが今回も小さかったこともあり、

結婚式とは無関係にしなくてはならない仕事があって、

パッキングをしている最中も仕事のことが頭から離れず

重たい資料をキャリーの中に入れ、

ぎりぎりまでPCを持って行こうか悩んでいたこともあり、、、

わたしの頭の中にはすっかりパスポートを持たなくてはならないという概念が抜け落ちていた。

また、韓国人の義兄の親しみ溢れる存在によって韓国があまりにも国内のような感覚になっていた。

時差もないしさ…。2時間で着くしさ…。(東北よりも近いわけでさ・・・)

チケットは義兄が購入してくれていたし。。。

羽田空港のホームに着いた瞬間に、

「あ~?なーんかいつもと空港の雰囲気違うなぁ~」と寝ぼけながらふとよぎり、

改札の『国際線ターミナル』という文字を見た瞬間に、

脳みそをかきまぜられているかのように動転した。

「んっ?へ?えええ!?今日わたしの乗る飛行機って、そうだ!

国際線じゃん!韓国って外国じゃん!パスポートない!完全に忘れてた!」

かなり慌てた。

こういうときほど、野比のび太氏に憧れることはない。

「ドラーえもーーーん!」と言って、ホームで大声を張り上げて

じたばたしながら大泣きすれば、ドラえもんだろうがドラミちゃんだろうが、

誰かがわたしのパスポートを持ってきてくれるというのなら

たとえその場にいる見ず知らずの全員にキチガイだと思われようが、

構わず(むしろ大喜びで)わたしはそれをするだろう。

あーん!ありえなーぃ…と思いながら、

韓国で式を挙げる姉がいるチケットカウンターまで走った。

絶対に怒られると思いつつ「ごめんあいちゃん、パスポート忘れた!」とわたしは焦りながら言った。

姉は思いのほか、あっけらかんとしながらうっすら笑みを浮かべながら返した。

「多分間に合わないから、自分で航空券買ってきて」

そしてキャリーケースを見ながら続けた。

「そのスーツケースの大きさなら手荷物で行けるから置いてきな。持ってってあげる」

そして、「ま、間に合うかもしれないからせいぜいがんばれ。走れ」と。

あまりにあっさりと言うのでわたしは面食らったが、それも姉の優しさのうちだと察した。

どんくさい妹がパスポートを忘れたこと自体を責めたり一緒になって

焦ったりすることもできたわけで。

何てたって、韓国で待つ義兄やそのご両親にご迷惑をかけたくない気持ちもあったろうに。(わたしの中にはこればかりがあった)

チェックインは40分前ということを家路の途中でメールをもらい、

「もう無理やー!」と、あきらめた。

いや、正確に言うとあきらめきれず、姉に旅券番号や有効期限など、

自分のパスポート情報をすべてメールで伝えた。

旅慣れている姉がそれをチェックインカウンターの人に伝えてくれた。

そして、最後に。

「さとちぇ(←わたし)

多分無理かもしれないけど、ゴリ押ししろ。

明日韓国で自分の結婚式がある。どうしてもこの飛行機で行きたい。

そう切迫して言ってごらん。

頑張れ」

と来た。

「ありがとう!本物の花嫁さん!」と返して曰く、

姉にも迷惑をかけて申し訳ないっと思いつつ。。。

姉はあまり動じないタチなので、こちらとしても、

落ち着いて罪悪感に打ちひしがれることなく投げやりにならず向かうことができた。

本当にそれには感謝。。

こんなドジをおかす人って世の中にいるのか?

それが自分の身の上に起きているこの事実は現実なのか?

そんなことをぐるぐる思いめぐらせながら

走れるところは全部走って自宅に引き返し、また羽田空港に向かった。

そしてそして!!!チェックインカウンターについたのは飛行機が発つ20分前!

元CAの母曰く、20分もあれば手荷物もないし必ずゲートまで一緒に走ってくれる人がいる!

という確信はあっけなく破られ、

カウンターのお姉さん、「無理ですね~。無理です無理です」の一点張り。

元5スターホテルのホテルマンだったわたしとしては、

「サービス業のくせにお客様に対して無理って言うなコノヤロー!」と思い、

最終手段で「お願いします!!!わたし、明日結婚式なんです!わたしの!

どうしてもこれに乗らなくちゃいけないんです!」と大声。

その瞬間にカウンター中のお姉さんたちがこちらに振り向いたけれど、

その眼差しはあわれみどころか「そんな大事な日の飛行機を逃すなんて」と、

軽蔑したような目であった。とほほ。

結局払い戻しで新しくチケットを買い、昼発のはずが夕方発の便で向かった。

お陰で先についていたメンバーを散々待たせてしまった。

ふ~。

最初から、親たち初老組を疲れさせる旅にしてしまった。。。

わたしは、ご迷惑をかけた事に関しては本当にごめんなさいと凄く凄く思っているのだけれど

自分に対してはいい教訓といい思い出が出来たね、と思っている。

(これを友人に話したら、クレイジーと言われたけれど、本当にそう)

ただ今回のこのミス、早い話が、

日ごろの生活に緊張感がないということが大きな理由だったなぁと深く深く反省した。

そしてこれから、わたしはパスポートを持って出かけることが結構ある、そんな気がした。

Runway of the airport

神様が、「これからは忘れたり、旅先でも気を付けて保管したりすんだよ。

あなたにとって本当に大事なものだから」と、教えてくれたような気がした。

今回、これが韓国でよかった。本当に。

はい、お疲れ様でした~

2014年 秋